【企業主導型保育事業】保育園の運営経験がなくても開園できる?
一般企業の保育事業参入を促進している企業主導型保育事業は、これまで保育事業の経験がない事業者にとって保育事業に参入する機会となり、待機児童対策にも大きな貢献を果たしています。
とは言っても、保育のノウハウがない事業者から、開園にあたっての不安の声を聞くこともしばしば・・・
保育園を開園するためには、多くの専門知識と時間、労力が必要です。
近隣状況や待機児童調査、事業計画、収支予算、各種申請書類の準備に設置申請、工事から開園、そして運営に至るそれぞれの段階で必要となる、専門知識や手続き内容、申請先も異なります。行政とのやりとりや、子ども向け施設の設計や備品の選定、保育士をはじめとする専門的な人材の募集や面接など、これまで経験したことのない特殊な作業が多くあるため、一つ一つに手間がかかってしまいます。
保育園の運営経験がなくても運営自体は可能です。ただし、毎年度更新される新しい要項や要領を読み解き理解した上で運営に反映し、適切に運営していかなければなりません。また、命をお預かりするリスクや不安もおおきく、食中毒予防や衛生管理、感染症対策、安全対策などなど、日々厳重の対応する必要があります。
以上のことから設置運営の経験がない事業者が保育園を開園する場合、コンサルタントやサポート会社を活用されるパターンがほとんどです。特に、企業主導型保育事業の開設にかかる申請については、毎年度申請時期がバラバラで、申請期間も1か月とタイトなため、多くの事業者が応募に殺到します。書類等の不備や申請のタイミングを逃してしまうなど、開園ができなくなることもあるため、自社で行う場合は事前計画や準備に相当な期間を設定しておく必要があります。
そこで今回は、保育園をスムーズに開園し適切な運営するために、企業主導型保育事業の申請から運営までのフローを簡単にご説明します。
企業主導型保育事業の申請は、以下の4つの段階に分かれています。
① 申請前(事前調査から申請まで)
企業主導型保育事業の申請を準備を始める前にとして、まず検討・決定しておくべきことは以下です。
1)設置方法
・自社単独で設置利用する
・他企業の共同利用や地域の子どもを受け入れする
2)運営方法
・自社で運営する
・保育事業者へ運営を委託する
3)ニーズ調査
・自社や地域の利用者数
・預かる子どもの年齢や開園時間、曜日
・必要とされる保育サービス
4)地方自治体へ相談
・建築基準法、消防法の相談、確認
・食品衛生法等の各種法令の相談、確認
・各自治体の建築物に関する条例等の相談、確認
・保育ニーズの相談、確認
5)設置場所の決定
・自社内で設置
・駅前の交通の便の良い地域で設置
・従業員が住んでいる地域で設置
6)構造設備、広さ、定員を決定
・受け入れする子どもの年齢、人数の決定
・児童ひとりあたりの必要面
・必要な設備
② 申請(申請から助成決定まで
企業主導型保育事業者として助成を受けるためには、まずは事業者として承認される必要があります。細かな要件を満たし、申請を通すためには煩雑な書類の作成や手続きがあります。以下がその書類の参考一覧です。
1)企業主導型保育事業(整備費)助成申込書
2) 所要額調書及び工事及び工事事務費費目別内訳書
3) 配置図、案内図
4) 施設の平面図及び立面図
5 )2社以上の見積書
6) 施設を整備する敷地の登記簿謄本又は賃貸借契約書
7) 助成申込者の定款又は寄付行為
8) 助成申込者の法人の申請事業年度の予算書及び最近3 期の決算報告書
9)公認会計士等の書類等
10) 預貯金の残高証明書
11) 会社・法人の登記事項証明書
12) 社会保険料の未納がないことを証明する書類
13) 税金の未納がないことを証明する書類(領収書不可)
14) 状況調査確認事項チェックシート
15) 建築整備内容の法令・基準チェックシート
16) 保育の質に関する調書
17) 保育所保育指針における「全体的な計画(案)」
18 )ガバナンス・コンプライアンスに関する調書
19) 利用意向調査票
20) 資金計画書
21) 保育施設の今後5年間の収支予算書
22) 事業実施者全体の今後5年間の収支(損益)予算書
23) 事業実施者全体の今後5年間の借入金等返済計画
24) 施設長(園長)候補者の履歴書
25) 法人等の就業規則・非常勤就業規則
26) 法人等の給与規程
27) 暴力団排除に関する誓約書兼照会同意書
28) 建設業許可証
29) 建築士事務所登録通知書
30) 建築士免許証、建築士定期講習修了証
31) 建築士事務所所属証明書類
32) 設計・監理重要事項説明書
33) 既存図面及び既存写真等
34) 既存建物の検査済証、確認済証、台帳記載事項証明
35) 工事費の按分方法がわかる資料
36) 保育室の有効面積算定図・算定表
37) 区画図
③ 申請後
申請が通り企業内保育の事業者として認められると、保育園の開設に向け具体的に準備を始めます。保育園の運営に必要な保育材料や備品の調達、運営計画の作成、そして保育士や園児の募集など対外的な仕事も含まれす。この時期は、消防やハローワーク、保険会社、園児の入所に関する申請業務などが発生するため、同時に様々なことを行う必要が出てきます。
④ 開設後
保育施設が開設し運営が始まると、日々の保育はもちろんのこと職員の労務管理や季節の行事に向けた準備など、多くの業務が発生します。その他監査への対応や毎年の申請、経営に関する調査や園児募集、保護者への説明なども必要になります。
以上のことから、【企業主導型保育事業】の準備から運営は、かなりの専門的分野になっています。また、届出制ではないため、小さなミスや不足についても細かくチェックする必要があり、開園までに間に合わないことも出てきます。
企業主導型保育事業をスムーズに開始し、保育園を安心して運営していくためには、コンサルタントの活用やサポート会社への運営の委託が安心かもしれません。短期的に見ると、コンサルタント費用で初期費用が増加しますが、スムーズな開園が可能となり、安定的な運営を行うことができるため、無駄な労力や人件費を抑えられ長期的にみて利益につながると考えられます。また、保育士や調理員等の専門スタッフの採用や離職者を出さないためには、働く環境や保育の専門知識に基づいた研修等の実施も必要となります。
いかがでしたでしょうか!!!
第二弾は【企業主導型保育事業】の申請から運営までのフロー説明でした。
企業主導型保育事業に特化したコンサルタントやサポート会社を活用し、安心して運営していくことをぜひ検討してみてください。
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